越冬

訴えたいことが、ないんです

うたかたの日々

無職になった。

なったというか、退職を申し出たので無職に自分からなったのだが、無職である。

 

無職になる前は、私は外に出なくても花鳥風月だけで大丈夫なタイプではないかと思っていた。だが実際は、花鳥風月も必要なかった。外界の刺激がなくても大丈夫ということが判明した。

とは言っても家で呼吸をするだけの人になってしまうので、家事をしてみたり、車の運転の練習をしてみたり、友達に会ったり旅行に行ったりしている。しかし、外に出れば出たで、ああ外に出て良かったと思うものの、出なくても良い。

外というのは何をするにもお金がかかるようになっていて、少し喉が渇いてお茶でも飲んでやろうと思ったら、喫茶店に入れば500円、外で自販機で買えば150円ほどが飛んでいく。こうして、収入が無いにも関わらず、小銭は少しずつ飛んでいく。友達に会えば3000円〜5000円ほどはポンと消える。実に世知辛い世の中である。

以前、イオンなどの量販店のベンチで何をするでもなくぼんやりと座っている老人達を見て、あの人達は何をしているのだろうかと不思議に思っていたが、家は退屈、もしくは空調が効いていないなどの理由で外に出たいけれど、金は無い。なのであそこでああしているのだと無職になってようやく了解した。分かる。混じりたいわけでもないが、分かる。

 

こうなってくると、金のかからない遊びというのが重要になってくるが、幸い私は家で本を読んでいるかiPadで遊んでいれば充分なので、外に出て遊ばなくてもよい。今のところ飽きてもいないので、というか時間が足りない気すらしているので、新たな金のかからない遊びを見つけ出す必要はないが、もしもの為に考えておくといいかもしれない。

というわけで、いつかやろうと思っているけれど、実行には至っていない『遊び』をここに記しておく。

 

名駅から歩いて家まで帰る。

主に災害時に、どうしても家まで帰りたい場合に備えて、実際家まで歩いて帰るとどのぐらいかかるのか試してみようという試みである。何時間かかかると分かっているので、暑くもなく寒くもなく、元気な時に試したい。無料と謳っているが、まず一旦名駅まで出る必要がある。途中腹が減ったり喉が渇いて小銭を使う可能性があるが、この遊び自体にかかるお金ではないので良しとする。

 

自転車でどこまでも行く。

自転車でどこまでも行くシリーズである。シリーズというのは、東と西には何があるかは分かったからだ。今度は、北と南でもいいし、南東とか西北という手もある。

自転車でどこまでも行くのの利点は、歩くより遥かに楽であって、自転車かごに物が入るという点だ。荷物があると歩きの場合は時間をかけてじわじわと疲労が蓄積するが、自転車はへっちゃらである。

朝早い内に出て、日が暮れる前に帰ってくるのを目安にどこまでも自転車で行く。これもできれば暑くもなく寒くもない時がいい。途中お腹が空いて喉が渇くので、小銭必須である。

 

俳句、川柳をひねる。

やってみたいと思いつつ、普段頭から抜けているので忘れている。

なにかを見た一瞬の感動を句にするのがいいと思うけれど、ひねるぞ、と思わなければ俳句を作ろうと思っていたことすら思い出さないので、とにかくひねろうという心掛けを持たなければ始まらない。

 

思いついたことをメモ帳に記する。

例えば、カラオケで歌おうと思っても、あれっ、私の知っている歌って何があったっけということになりがちなので、知っている曲リストを作りたい。なおかつ、歌い始めに楽に歌えるもの、調子が出てきたら歌ってよいもの、難易度が高いもの、とリスト分けしておきたい。そうすればいざカラオケに行っても大丈夫だ。おもむろにメモ帳を取り出し、なにそれ、と言われながら曲を打ち込んでいくのだ。

または歩いていて浮かんだ良いフレーズを書き留めたい。友達に会った時に聞いた話を忘れないように書いておきたい。読んだ本や、見た映画の感想もちょっと書いてみたい。

ノートもペンもあるのにそれがなかなか実行に移せないのは、自分の性格のせいだ。ここの日記が全くまめに書けないのと同じ理由だ。