越冬

訴えたいことが、ないんです

戻れなくなって

‪昔、オタクの友人に、あの頃の気持ちに戻りたいからアニメを見るの?と聞いて、「はあ?」‬という反応をされたことがある。単純にアニメが好きで、好きだから見ている。どうもそういうことらしい。

 

アニメは全く見ていないが、そういった情報(特に子供向けよりは深夜枠のオタク向け)に遭遇すると、自分が高校大学のあの頃に戻った気分になった。

人がオタクやサブカルといったものにどっぷりハマる時期は、高校大学の頃ではなかろうか。実際の私はテレビ自体あまり見ない人間で、その頃大ヒットしていたエヴァンゲリオンを友人にビデオで借りて一度見たぐらいで、深夜アニメを懐かしく思えるほど見てこなかったくせに、何故だか懐かしく思ってしまう。

あの世界には永遠の高校生がいて、永遠の大学生がいて、終わらない青春と終わらない恋と終わらない鬱屈がある。

だから、実際は見る気はないのに、なんとなく、気になっていた。

 

ところが、ここ数年、ついに深夜アニメの魔法が自分に効かなくなった。

ついに高校、大学時代が地続きではなくなってしまったのだ。

制服を着た男女の恋愛が、パッとしない俺たちの物語が、私の郷愁から離れていって、ついに自分とは関わりのない『高校生の物語』になってしまった。

 

実は、この記事は別のところにずっと下書きとしてあったもので、数年経っている。

今、見直して、そういえばそんな気持ちを抱えていたなと思い出して懐かしくなって書いたものだ。

青春は外から見ると激しく燃えているが、中は虚ろだ、みたいな文があったけれど、あの頃はまだ、激しく燃えている青春が気になるだけ若かったのかもしれない。今はただ、山の彼方に上がる花火のようだ。